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天地は薔薇色に明け放たれていて、谷窪の万象は生々の気を盆地一ぱいにかおらしている。かがやく蒼空をいまき出すように頭上の薄膜はくまくの雲は見る見るはがれつつあった。  何という新鮮で濃情な草樹の息づかいであろう。緑もかばだいだいも黄も、その葉の茂みはおのおのその膨らみの中に強い胸を一つずつ蔵していて、溢れる生命に喘いでいるように見える。
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:94% 作品を確認(青空文庫)
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雨上がり・晴れ間がのぞく
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前後の文章を含んだ引用
......う。復一は精も根も一度に尽き果て、洞窟どうくつのように黒く深まる古池の傍にへたへたと身を崩折らせ、しばらく意識を喪失そうしつしていた。  しばらくして復一が意識を恢復かいふくして来ると、天地は薔薇色に明け放たれていて、谷窪の万象は生々の気を盆地一ぱいにかおらしている。かがやく蒼空をいまき出すように頭上の薄膜はくまくの雲は見る見るはがれつつあった。  何という新鮮で濃情な草樹の息づかいであろう。緑もかばだいだいも黄も、その葉の茂みはおのおのその膨らみの中に強い胸を一つずつ蔵していて、溢れる生命に喘いでいるように見える。しどろもどろのくさむらは雫のつゆをぶるぶる振り払いつつ張って来た乳房ちぶさのような俵形にこんもり形を盛り直している。  耳の注意を振り向けるあらゆるところに、潺湲せんかんの音が自由に聴......
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薄膜(うすまく・はくまく)
喘ぐ(あえぐ)
蔵する(ぞうする)
燻らす・薫らす(くゆらす)
蒼空(そうくう)
胸(むね)
薄膜・・・薄い膜。コーティング。
喘ぐ・・・1.苦しむように息をする。息を切らす。
2.貧しさや精神的なプレッシャーに苦しんで悩む。
蔵する・・・1.所蔵する。自分のものとして持つ。
2.内部に持つ。中に含みを持っている。
燻らす・薫らす・・・ゆっくりと煙を立てる。くゆらせる。
蒼空・・・青空。蒼天。
・・・1.体の前面で、首と腹との間の部分。また、その内側にある心臓や肺臓、胃などの内臓。
2.(胸に宿るとされている、)心。想い。心中。
3.乳房(ちぶさ)。おっぱい。
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