数学の領域においては、証明できないことには何の意味もないし、いったん証明さえできれば、世界の謎は柔らかな牡蠣のように人の手の中に収まってしまうのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 作品を確認(amazon)
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数学
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単語の意味
手の中(てのなか)
牡蠣(かき)
手の中・・・手の平の中。手の平。手の内。
牡蠣・・・イタボガキ科の二枚貝の総称。貝殻は白い灰色で、細長い卵形。浅い海の岩に付く。食用として、真牡蠣(まがき)を中心に養殖されている。オイスター。
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数学の領域においては、証明できないことには何の意味もないし、いったん証明さえできれば、世界の謎は柔らかな牡蠣のように人の手の中に収まってしまうのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
(過剰数と不足数)18 は1+2+3+6+9=21だから過剰数だね。 14 は1+2+7=10で、不足数になるわけだ」 私は 18 と 14 を思い浮かべた。博士の説明を聞いたあとでは、それらは最早ただの数字ではなかった。人知れず 18 は過剰な荷物の重みに耐え、 14 は欠落した空白の前に、無言でたたずんでいた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
(素数)1と自分自身以外では割り切れない、一見頑固者風の数字
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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(素数の同じような話を何度も聞いていると新たな発見がある)同じ素数の話(素数が無限にあるかどうかの証明や、素数を使った暗号の作り方や、巨大素数、双子素数、メルセンヌ素数、等など)にしても、ちょっとした構成の変化により、自分の勘違いに気づかされたり、新しい発見ができたりした。天気や声の調子が違うだけで、素数に射す光の色が変化して見えた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
(ノートのページいっぱいに書かれた数式)私はページを撫でた。博士の書き記した数式が指先に触れるのを感じた。数式たちが連なり合い、一本の鎖となって足元に長く垂れ下っていた。私は一段一段、鎖を降りてゆく。風景は消え去り、光は射さず、音さえ届かないが怖くなどない。博士の示した道標は、なにものにも侵されない永遠の正しさを備えていると、よく知っているから。 自分の立っている地面が、更に深い世界によって支えられているのを感じ、私は驚嘆する。そこへ行くには数字の鎖をたどるより他に方法がなく、言葉は無意味で、やがて自分が深みに向かおうとしているのか、高みを目指そうとしているのか、区別がつかなくなってくる。ただ一つはっきりしているのは、鎖の先が真実につながっているということだけだ。 私は最後の一冊の、最後のページをめくる。不意に鎖は途切れ、私は暗闇の中に取り残される。もうあと少し歩みを進めれば、目指すものはすぐそこにあるかもしれないのに、どんなに目を凝らしても、次に踏み締めるべき数字はどこにも見つけられない。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
(彼にとって)正解を得た時に感じるのは、喜びや解放ではなく、静けさなのだった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
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