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窓からは線路に沿った家々の内部なかが見えた。破屋あばらやというのではないが、とりわけて見ようというような立派な家では勿論もちろんなかった。しかし人の家の内部というものにはなにか心かれる風情ふぜいといったようなものが感じられる。
梶井基次郎 / 路上 ページ位置:16% 作品を確認(青空文庫)
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車窓からの風景
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前後の文章を含んだ引用
......です。往来を走っているのは割合い少いものですが、など車掌は言っていた。汽車のように枕木の上にレールが並べてあって、踏切などをつけた、電車だけの道なのであった。  窓からは線路に沿った家々の内部なかが見えた。破屋あばらやというのではないが、とりわけて見ようというような立派な家では勿論もちろんなかった。しかし人の家の内部というものにはなにか心かれる風情ふぜいといったようなものが感じられる。窓から外を眺め勝ちな自分は、ある日その沿道に二本のうつぎを見つけた。  自分は中学の時使った粗末な検索表と首っ引で、その時分家の近くの原っぱや雑木林への花を捜し......
単語の意味
風情(ふぜい)
沿う・添う・副う(そう)
風情・・・自然とかもし出される(いい)雰囲気。その場の風景から自然と感じられる、なんとなく上品で美しい雰囲気。趣(おもむき)。味わい。「風」も「情」も「趣(おもむき)」を意味する字。
沿う・添う・副う・・・1.(「沿う」と書いて)長い線状のものの近くを離れずに平行に進む。つたっていく。
2.(「沿う」「添う」「副う」と書いて)期待されるところから外れない状態を保つ。ある基準から離れないようにする。
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