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夢野久作 / ドグラ・マグラ ページ位置:79% 作品を確認(青空文庫)
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失われた記憶がよみがえる
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前後の文章を含んだ引用
......せた。 「ウフフフフフフ。ぞっとしたろう。ウフフフフフフ……ゾッとする筈だ。……あの呉一郎も初めてこれを見た時には、君と同じように慄 え上がったに違いないのだ。……恰 も太古の生物の遺骸が、石油となって地層の底に残っているように、あの呉一郎の心理の底に隠れ伝わっていた祖先の一念は、この絵巻物を見てゾッとすると同時に点火されたんだ。……そうしてみるみるうちに一切の現実の意識を打ち消すほどの大光明となって燃え上って来た。過去も、現在も、未来も、日月星辰 の光りもことごとくその大光明に掻き消されてしまって、自分自身が呉青秀と同じ心理……すなわち呉青秀自身になり切ってしまうまでゾッとし続けたのだ……姪の浜の石切場の赤い夕日の中に立ち上って、この絵巻物を捲き納めながら、ホッと溜め息をして西の空を凝視していた呉一郎は、最早 、今までの呉一郎ではなかったのだ。......
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失われた記憶がよみがえるの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
弾かれたように、頭の中に風景が広がった。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
そういった佃の胸に、忘れかかっていた経緯が蘇ってきた。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
タクシーのラジオから流れてくるその音楽を耳にして、すぐに「これはヤナーチェックの『シンフォニエッタ』だ」とわかったのだろう。そしてどうしてその音楽が、私の身体に激しい個人的な揺さぶりのようなものを与えたのだろう。そう、それはとても個人的な種類の揺さぶりだった。まるで長いあいだ眠っていた潜在記憶が、何かのきっかけで思いも寄らぬ時に呼び覚まされたような、そんな感じだった。肩を掴まれて揺すられているような感触がそこにはあった。とすれば、私はこれまでの人生のどこかの地点で、その音楽と深く関わりを持ったのかもしれない。その音楽が流れてきて、スイッチが自動的にオンになって、私の中にある何かの記憶がむくむくと覚醒したのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
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(ぼろぼろになるまで使い込んだ料理の本は)小さい頃愛していた絵本のように、グラビアの色彩ごとページが頭に浮かんでくる。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
思い出せない。私の記憶はまた白紙である。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
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