(古い造りの平屋)昔の家だからか、天井が低く、全体的にこぢんまりしている。玄関の正面にある襖は閉じられていて、にな川はその襖の脇にある磨りガラスの敷居戸を開けた。薄暗い板張りの細長い廊下が長く続いていて、靴下を通して、板廊下の冷たさが足の裏に染みてくる。今が初夏だということを忘れさせてくれる家だ。廊下の奥にある引き戸の先には、日当たりの悪い狭い庭があり、《…略…》庭には盆栽や古雑誌、旧式の小さな洗濯機や物干し竿なんかがあって、さしずめ屋根のない物置きといったところ。足元の生えっ放しの雑草には、蚊が群がっている。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 作品を確認(amazon)
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室内の雰囲気
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単語の意味
初夏(しょか・はつなつ)
盆栽(ぼんさい)
日当たり(ひあたり)
蚊(か)
初夏・・・ 夏の初め。陰暦4月の異名。孟夏(もうか)。首夏(しゅか)。
盆栽・・・植木鉢に小形の樹木などを植えて、姿かたちを整え、その趣(おもむき)を鑑賞するもの。
日当たり・・・日の光が当たること。また、その当たり具合。
蚊・・・カ科の昆虫。古来より人が悩まされてきた、小形の害虫。主に夏に出る。雄は人や家畜の血を吸う。種類が多く、デング熱やマラリアなどの伝染病を媒介するものもいる。飛行の際に「ぶぅぅん」と羽音を鳴らす。
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壁をくりぬいて作られた書棚もあった。書棚の中には、デザイン関係の洋書やポップアート画集などが数冊、納められていた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
八十平方メートルの結界の内側で、(帰りを待っている)
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
壁に窓用としてくり抜かれた空間にぽっかりと夜が浮かんで、風化した髑髏(どくろ)のよう
中島 みゆき / 泣かないで・女歌(おんなうた) amazon
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ことりとも音を立てずに細くドアを開ける
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
鍵のあく音が、氷が寒夜にひび割れたように響きわたる
志茂田 景樹 / 月光の大死角 amazon
吉川英治 / 無宿人国記
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