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(弟が生まれてしばらくして曾祖父が死んだ。)弟を撫でているうち、この赤ちゃんを産んだのは曾祖父ではないか、との思いにとらわれ、彼は自分でもわけが分からず奇妙な気分に陥った。これがつまり、悲しいという気持なのだろうか、と自分に問いかけた。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 ページ位置:99% 作品を確認(amazon)
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喪失感(大切なものを失う)
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......て口をパクパクさせた。皆、さすがお兄ちゃんだ、あやし方が上手い、と言って彼を誉めた。ウサギにしてやったのと同じようにしているだけだ、ということを知っている曾祖父は、もういなかった。 弟を撫でているうち、この赤ちゃんを産んだのは曾祖父ではないか、との思いにとらわれ、彼は自分でもわけが分からず奇妙な気分に陥った。これがつまり、悲しいという気持なのだろうか、と自分に問いかけた。 お別れの時、彼は棺に横たわる曾祖父の髭を撫でた。そこに触れるのは、曾祖父の声を聞くのと同じだった。二人の秘密は全部そこに仕舞われていた。
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一度死んでしまえば、それ以上失うべきものはもう何もない。それが死の優れた点だ。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
言いようのない幻滅とけだるさとを戸田は感じた。昨日まで彼がこの瞬間に期待していたものは、もっと生々しい恐怖、心の痛み、烈しい自責だった。だが床を流れる水の音、パチ、パチと弾く電気メスの響き、それらは鈍く、単調で、妙に物憂い。それどころか、何時もの手術とはちがって患者のショック死や急激な脈や呼吸の変化を怖れるあの張りつめた緊迫感が今この手術室のどこにもなかった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
自殺ってやつは、あとに残る者へ自分の中身をそっくり預けて、脱殼になることじやないか。
三浦哲郎 / 川べり
泣きそびれてしまったのだ。ただ、心ががらんとした。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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