スモッグに霞むビルの間を長い間目で探してみる。高層の建物はどれも灰褐色の墓石のように似かよっていて、幾つかのビルの屋上に、取り残されたタワークレーンが淋しげに首をもたげている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:71% 作品を確認(amazon)
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見下ろした風景
ビル・建物
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前後の文章を含んだ引用
......で知らずにいたが、地理的に考えれば断層の向こうに広がる風景の、それほど遠くはないどこかに、カヨの住むアークサイトタワーも含まれているはずだ。方角の見当をつけて、スモッグに霞むビルの間を長い間目で探してみる。高層の建物はどれも灰褐色の墓石のように似かよっていて、幾つかのビルの屋上に、取り残されたタワークレーンが淋しげに首をもたげている。探すのに飽きて、冬の陽射しに眩んだ目を閉じると、十和子の内部にも不揃いな建物の群れと、街路と、電柱の列からなる見知らぬ街がひっそりと佇んでいる。 黒崎は殺された......
単語の意味
灰褐色(はいかっしょく)
霞(かすみ)
首・頸・頚(くび)
灰褐色・・・灰色が入った茶色。
霞・・・1.遠くにある山などの前に、帯状の煙りのようなものが見える現象。春の朝などによくある、遠くをはっきり見えなくさせる雲のようなもの。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
2.目に白いものがかかったようになって、ものがぼんやりと見えること。翳み(かすみ)。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
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丘の上から、裾野まで見渡せる大きな大きな富士山を眺める。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
ビルの五階にあった窓から見下すと、電車や自動車や通行人などを蟻のように数えることもできた。
福永 武彦 / 草の花 amazon
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礼拝堂のシルエットが棺のように黒い
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「だって、なんかどんどん変わっていくんだもん。せっかく見つけた遊び場も、すぐ工事現場になっちゃうし。引っ越してくる前の街はそんなことなかったもん。なんか変。生き物みたい」
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岬がなだらかに女の腕のような線を描いてのびている。
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さしかける古い森林の深いどす青い陰
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