ずたずたに斬られて、そこへ俯伏せになっていた高梨外記は、もう虫の息もない。死骸は、滅茶滅茶だ。胸いたを突いた痕ばかり七、八ヵ所もある。復讐 的な虐殺だ。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳 ページ位置:86% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
死に方・死に様
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......をつかんで、それを、引ッ奪くった。 「――来てくれッ。大変だッ」 茶店の夫婦が、山小屋の木挽 だの、石切工だのを、呼び集めて来てみた時は、もう、雲霧はいなかった。 ずたずたに斬られて、そこへ俯伏せになっていた高梨外記は、もう虫の息もない。死骸は、滅茶滅茶だ。胸いたを突いた痕ばかり七、八ヵ所もある。復讐 的な虐殺だ。 「――分らねえもんだ、あのまあ、気だてのいい、針屋が?」 と、人々は、首を振って、不思議がったり、余りの酷 さに、眉をひそめたり、何だか、世の中も、世の中に住む人......
単語の意味
胸(むね)
虫の息(むしのいき)
虫の息・・・小さな虫のような、かすかな息(=呼吸)。転じて、今にも死にそうな、弱々しい呼吸。息が絶えそうになった、死の寸前の状態。
ここに意味を表示
死に方・死に様の表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
赤ん坊の死体が、うき袋のようにぽかぽかうかんでながれている
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
秋の終わりごろに風もないのに木の葉が一枚落ちるみたいな、そんな感じ(の死に方)
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
捨てられた猫のように死んで行く
梅崎 春生 / 桜島 amazon
このカテゴリを全部見る
「生と死」カテゴリからランダム5
死ねば私の意識はたしかに無となるに違いないが、肉体はこの宇宙という大物質に溶け込んで、存在するのを止めないであろう。私はいつまでも生きるであろう。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
消えかかる松明 の火のように、静かに息をひきとった
芥川龍之介 / 偸盗
同じカテゴリの表現一覧
生と死 の表現の一覧
暮らしの表現 大カテゴリ