虫が飛ぶ・羽音の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
茶褐色の虫が、スースーという老人の寝息のような羽音をたてて
井上 光晴 / 小説ガダルカナル戦詩集 amazon
(小さい虫たちが飛び交う)昆虫。昆虫。初冬といっても彼らの活動は空に織るようである。
梶井基次郎 / 冬の蠅
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レディバグ、レディビートル、てんとう虫は英語でそう呼ばれている。その、レディとは、マリア様のことだ、と聞いたことがあった。《…略…》マリア様の七つの悲しみを背負って飛んでいく。だから、てんとう虫は、レディビートルと呼ばれる。 七つの悲しみが具体的に何を指すのか、槿(人名)は知らない。が、あの小さな虫が、世の中の悲しみを黒い斑点に置き換え、鮮やかな赤の背中にそっと乗せ、葉や花の突端まで昇っていくのだ、と言われれば、そのような健気さを感じることはできた。てんとう虫はこれより上には行けない、というところまで行くと、覚悟を決めるためなのか、動きを止める。一呼吸を空けた後、赤い外殻をぱかりと開き、伸ばした翅を羽ばたかせ、飛ぶ。見ている者は、その黒い斑点ほどの小ささではあるが、自分の悲しみをその虫が持ち去ってくれた、と思うことができる。
伊坂 幸太郎 / マリアビートル amazon
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
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