伸子の気分が平和なのは、二人が別にこれという話もせず、笑いもせず、ぼんやり縁側に腰をかけて、樹でも見ている時であった。丁度、二匹の犬が、日向で前脚をのばし、その上に顎をのせて、うつらうつらしている時のように。

（今日起こった出来事を話す）よくそういった話で単調な生活を飾った。

楽園的とまではいえないが平穏な日々

穏やかで平和な日々

砂のように静かに流れていく、ここでの毎日。

こんどは、とても好きなひとが出来たら、眼をつぶってすぐ死んでしまいましょう。こんど、生活が楽になりかけたら、幸福がズルリと逃げないうちにすぐ死んでしまいましょう。 　カンナの花の美しさは、瞬間だけの美しさだが、ああうらやましいお身分だよだ。

暖かになると、妙に着物の汚れが目にたってくる。母の着物も、ささくれて来た。

（平和な家庭生活）沼に浸っているような生活気分

降りつもる雪のように、ただ過ごしてきた月日

朝起きるとできるだけ時間を稼ぐかのようにベッドの中でぼんやり過ごし