文字・活字の表現・描写・類語(言葉・話のカテゴリ)の一覧 ランダム5
右上がりのとがった文字だった。 サトウの字は昆虫のようだと、わたしはいつも思う。指先にのせると、足先に密集している小さな棘や、胸の硬い甲羅や、神経質に動く触角が皮膚をチクチク刺して気持ち悪い、そんな字だ。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
蠅の頭ほどな細かい字
夏目 漱石 / 明暗 amazon
象形的で、濃密で、硬くて、非妥協的な字だ。エジプトのピラミッドでときどき発見される昔の小さな甲虫を想像させる。今にもぞろぞろと動きだして、そのまま歴史の闇の中にあと戻りしてしまいそうだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
表札に彫られた「にな(蜷)」の漢字は、私の知らない、虫偏の難しい漢字で、なんとなくかたつむりを連想させる字だ。
綿矢 りさ / 蹴りたい背中 amazon
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彼の口ぐせのように呟く言葉は《…略…》体の底からあぶくのように浮き上ってくる
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
誰もがどこかで習ったかのように、似たような言い回しをする。オリジナリティはどこに行ったんだ、と嘆きたくなる。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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