にわかに底潮の流れが早くなってくる。船が横に身体をずらし始めた。今まで右舷に見えていたカムサツカが、分らないうちに左舷になっていた。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:27% 作品を確認(青空文庫)
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嵐の中の船
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前後の文章を含んだ引用
......に聞こえた。 もう海一面、三角波の頂きが白いしぶきを飛ばして、無数の兎があたかも大平原を飛び上っているようだった。――それがカムサツカの「突風」の前ブレだった。にわかに底潮の流れが早くなってくる。船が横に身体をずらし始めた。今まで右舷に見えていたカムサツカが、分らないうちに左舷になっていた。――船に居残って仕事をしていた漁夫や水夫は急に周章 て出した。 すぐ頭の上で、警笛が鳴り出した。皆は立ち止ったまま、空を仰いだ。すぐ下にいるせいか、斜め後に突き......
単語の意味
身体(しんたい)
底潮(そこしお・そこじお)
身体・・・人のからだ。肉体。
底潮・・・海底付近を流れる潮。⇔上潮(うわしお・うわじお)。
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嵐の中の船の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
船は、断末魔の鯨が、荒狂う波濤 の間に身体をのたうっている、そのままだった。
小林多喜二 / 蟹工船
船は波の動揺のまにまに勝手放題に荒れ狂った。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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雨で水かさを増した川音がズシンズシンとまるでだれかに背中をどやされるみたいに響いてくる
三浦哲郎 / ユタと不思議な仲間たち amazon
川は 気紛れに岸に当って 淵 を作り、または白い瀬となって 拡がった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
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タイヤが地面の砂利を蹴飛ばして、猛スピードで発車する。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
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火が燃え立つように、ちらりちらり白い波頭 が立っては消え、消えては立ちして、瞬間ごとに高さを増して行った。吹き荒れる風すらがそのためにさえぎりとめられて、船の周囲には気味の悪い静かさが満ち広がった。それを見るにつけても波の反対の側をひた押しに押す風の激しさ強さが思いやられた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
空に星明かりも見えない荒れ模様の夜
芥川龍之介 / 河童
いなごの大群は山を越えてやってきた。はじめのうち、それは巨大な暗雲に見えた。次にぶうんという地鳴りがやってきた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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