牛のような男

男の恰幅（かっぷく）もすばらしい筋肉で出来上っていた。硬緊（かたじま）りに肥えて、骨太で、上背丈（うわぜい）がある。

否応なしの肉体労働で、がっしりした体が備わっている

骨組みのたくましい見事な肉体

いかり肩、厚い胸部、ふくれた腹、大きな腰、大きな脚部が、浪底からあらわれる海坊主のように階段から浮かびあがり

細い後ろ姿。一本の線になって消えてゆきそうな小ささ。

四十代で肩ががっちりとして、険しい顔つきをしている。記者というよりは刑事か自衛官のほうが相応しい風貌だった。妙に鬼気迫る威圧感がある。

（庭のデッキ・チェアで目を閉じて思い出そうとする）猫の姿を頭に思い浮かべようとしたが、実際に僕が思い浮かべることができるのは、逆光を浴びた写真のようなひどく漠然とした猫の像にすぎなかった。強い太陽の光が瞼をとおり抜けて僕の暗闇を不安定に拡散させていたし、それに僕はどれだけ努力しても猫の姿を正確に思いだすことができなかったのだ。

私より背が低くて、ちょうど私の目の位置が伊吹くんのつるつるのおでこと同じ高さだ。

長い喪に服した人のようにやせ衰える