初夏の晴れた空に、夢のしたたりのように、あちこちに咲き迸 るマロニエの花
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:8% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
晩春・初夏
マロニエ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......て、かの女はどんなに歓 んだことであろう。 巴里という都は、物憎い都である。嘆きや悲しみさえも小唄 にして、心の傷口を洗って呉れる。媚薬 の痺 れにも似た中欧の青深い、初夏の晴れた空に、夢のしたたりのように、あちこちに咲き迸 るマロニエの花。巴里でこの木の花の咲く時節に会ったとき、かの女は眼を一度瞑 って、それから、ぱっと開いて、まじまじと葉の中の花を見詰めた。それから無言で、むす子に指して見せた。......
単語の意味
迸る(ほとばしる)
初夏(しょか・はつなつ)
晴れ(はれ)
迸る・・・(液体が)勢いよく吹き出る。飛び散る。強く流れ出る。
初夏・・・ 夏の初め。陰暦4月の異名。孟夏(もうか)。首夏(しゅか)。
晴れ・・・1.天気がいいこと。雨や霧などが伴わない天気。空に雲が少ない、もしくはまったく無い状態。
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
2.多くの人から注目されて、光栄に思うこと。待ちに待った、めったにない機会であること。晴れがましいこと。正式なこと。公式なこと。
3.疑いが解けて、自由になること。「晴れて自由の身になる」
ここに意味を表示
晩春・初夏の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
梶井基次郎 / 路上
初夏の匂いが、街じゅうにあふれていた。 穏やかで力があって、苦しいほどの草の匂いがする。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
マロニエの表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
岡本かの子 / 母子叙情
白い花を載せた浅緑の葉や、赤い花を包んだ深緑の葉
岡本かの子 / 巴里のキャフェ
このカテゴリを全部見る
「春」カテゴリからランダム5
(桜とバラの比較)ヨーロッパ人はバラの花を賞賛するが、私たち日本人はそれを共有する感覚は持ち合わせていない。バラには桜花の持つ簡素な純真さに欠けている。それだけではない、バラはその甘美さの陰にトゲを隠し、 執拗 に生命にしがみつく。まるで死を怖れるがごとく、散り果てるよりも、枝についたまま朽ちることを好むかのようにである。しかもバラは華美な色彩と濃厚な香を漂わせる。いずれをとっても桜花にはない特性である。 私たちの愛する桜花は、その美しい装いの陰に、トゲや毒を隠し持ってはいない。自然のなすがままいつでもその生命を捨てる覚悟がある。その色はけっして派手さを誇らず、その淡い匂いは人を飽きさせない。
新渡戸稲造 訳:岬龍一郎「いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫)」に収録 amazon
(冬のウグイス)ジュッジュッという啼き声がしてかなむぐらの垣の蔭に笹鳴 きの鶯 が見え隠れする
梶井基次郎 / 冬の日
水色の空に、霞のような春の雲が流れていく。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
晩春の花の萼(がく)をまだつけている新果のような五月のある朝
岡本 かの子 / やがて五月に (1956年) amazon
梅が、ふくらんでいる。
吉川英治 / 無宿人国記
「夏」カテゴリからランダム5
夜空に花火が咲く。花火は好きだ。色とりどりの光を空にぶちまけて咲く、あの一瞬がいい。消えたあと、しんと静まり、いつもより黒く広く感じる空がいい。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
川に沿って植えられた樹々の若い葉の匂いがした。その緑色があたりの空気の中にしっくりとにじみこんでいるようだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
目に映る何もかもが初夏のまぶしさをたたえて、勢いづいていた。人々のむきだしの腕、風に揺れる木々の緑。葉先に光る陽光、空気の 匂い、何もかもがもう止まらない。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
「植物」カテゴリからランダム5
(柳絮、りゅうじょ)落ちて来たやつは地上につもって、薄桃色の絹の蒲団が敷いてあるかのようであった。
木山 捷平 / 大陸の細道 amazon
透き通る様な青い若葉が門扉の上がら雨後の新滝のように流れ降り
岡本 かの子 / 蔦の門 amazon
同じカテゴリの表現一覧
春 の表現の一覧
夏 の表現の一覧
植物 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ