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春が来ていた。  コートを着る回数が減ってゆくのと同じ速さで、空気が暖かくなっていく。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
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晩冬・春先
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......。考えよう。とにかく帰ろう。私は、見れて嬉しかったよ。」 私は言った。弟はうなずいて、少し笑った。 何とかしたいな、と思いながら並んで帰った。       6 春が来ていた。 コートを着る回数が減ってゆくのと同じ速さで、空気が暖かくなっていく。 少しずつ、庭の桜が開いていく。二階の窓から、庭木の緑の中のピンクの分量がじょじょに増えてゆくのを毎日見ているだけで楽しい。 竜一郎から手紙が来た。ある退屈な真......
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