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どことも知れない手の届きかねる心の中に貼りついた苦しい花片はいつまでも取り除くことは出来なくなった。
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:9% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......あわてるほど、咽喉のどに貼りついて死ぬのではないかと思って、わあわあ泣き出しながら家の井戸端いどばたまで駆けて帰った。そこでうがいをして、花片はやっと吐き出したが、しかし、どことも知れない手の届きかねる心の中に貼りついた苦しい花片はいつまでも取り除くことは出来なくなった。  そのあくる日から復一は真佐子に会うと一そう肩肘かたひじを張って威容いようを示すが、内心は卑屈ひくつな気持で充たされた。もう口は利けなかった。真佐子はずっと大人振ってわざと丁寧ていねい......
単語の意味
花片(かへん)
花片・・・花びら。
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こうして離れていてふと、私の知っている彼のいいところを思うと、あまりのすばらしさに胸が苦しくなる。その文章の才、礼儀正しさ、行動の大胆さ、おおらかさ、手の形、声の響き……等。  そして悪いところやずるいところを考えると、あまりの憎しみに息が苦しくなる。私を旅に誘ったりする弱さ、妹の死に対するある種の冷酷さ、ろくに日本に帰らないくせに、来るとなると会いたがるずるさ……等。  ほかの人にはこんなに感じないひとつひとつの感覚が活性化される。その振幅がそのままその人を思う心のベクトルの大きさだ。人間は苦しい。不完全なひとりが、不完全なひとりを思い丸ごとを受け入れようと苦しむ様は、なぜかそれぞれ胸のうちの 嵐 とは別のところで、ときどき妙に生き生きとしたあるひとつの像を結ぶ。  人間がかろうじて日々を生きているわけみたいなもの。  いちめんに咲いた桜並木みたいに大盤振る舞いの美しくやさしいエネルギー。  たださらさらと花びらが散り、陽がさして風が吹き、はるか続く木々がいっせいに揺れて舞い狂うピンクとすきまの青空の甘い色に圧倒されて立ちつくす。知っている。一度しかなく、一瞬で終わる。でも自分がその一部に永遠に溶け込んでいる。ワンダフル、ブラボー! そういう瞬間を、人は苦しんでも求める。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon関連カテ恋愛・恋する・恋心愛憎
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