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前後の文章を含んだ引用

......ょっとカールして、水髪のように捌（さば）いた洋髪に結っていた。 　心なしか、わたくしが、父の通夜明けの春の宵に不忍（しのばず）の蓮中庵ではじめて会った雛妓かの子とは、殆（ほとん）ど見違えるほど身体にしなやかな肉の力が盛り上り、年頃近い本然の艶（いろ）めきが、坐（すわ）っているだけの物腰にも紛飾を透けて浸潤（うる）んでいる。わたくしは思う、これは商売女のいろ気ではない。雛妓はわたくしに会ってから、ふとした弾みで女の歎（なげ）きを覚え、生の憂愁を味い出したのではあるまいか。女は憂いを持つこと......

単語の意味

艶（つや）

物腰（ものごし）

身体（しんたい）

艶・・・１．物の表面に感じられる、なめらかで、美しく光る印象。
２．声などに張りがありなめらかで美しいこと。

物腰・・・人に接するときの、身のこなしや言葉遣いなどの態度。立ち居振舞い（たちいふるまい）。

「物腰」は、かつて「言葉」だけを指した。「物」は「ことば」のこと。「あきれて物（＝言葉）も言えない」など。「～腰」は、「何かをする際の姿勢や構え」をあらわす。「及び腰」「けんか腰」など。

身体・・・人のからだ。肉体。