風だけが草原を吹きわたっていた。まるでこの草原が風の特殊な通り道であるかのように見えた。風は重要な使命を帯びて先を急いでいるんだとでもいうように、あともふりかえらずに草原を走り抜けていった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:85% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
草原・芝生
風
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......はそれは羊男だったが、ある時には鼠だったり、ガール・フレンドだったりした。ある時にはそれは星印をつけた羊だったりもした。 しかし結局のところ誰も現われなかった。風だけが草原を吹きわたっていた。まるでこの草原が風の特殊な通り道であるかのように見えた。風は重要な使命を帯びて先を急いでいるんだとでもいうように、あともふりかえらずに草原を走り抜けていった。 僕がこの台地にやってきてから七日めに初めての雪が降った。その日は朝から珍しく風がなく、空にはどんよりと重い鉛色の雲がたれこめていた。僕がランニングから帰ってシ......
単語の意味
草原(そうげん・くさはら)
草原・・・一面に草が生えている広い野原。
ここに意味を表示
草原・芝生の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
草原が砂丘のようにゆるやかに起伏する
大岡 昇平 / 野火 amazon
このカテゴリを全部見る
風の表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
風がまた吹いて来て窓ガラスはまたがたがた鳴り、ぞうきんを入れたバケツにも小さな黒い波をたてました。
宮沢賢治 / 風の又三郎
このカテゴリを全部見る
「地上・陸地」カテゴリからランダム5
あらゆる音がジンタのように聞えて来る。
林芙美子 / 新版 放浪記
花園の花々は群生した娥のようにほの白い円陣を造っていた。
横光 利一 / 花園の思想 amazon
「風」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
地上・陸地 の表現の一覧
風 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ