（新幹線の）二号車の扉が開いた。威勢の良い溜め息とでもいうような、噴射音が響く。

貨物列車が爽やかな息を吐きながらしず／＼パッシイ街の方へ越えて行く。

列車が、尻をぶっ叩かれた馬のように、仕方なしにあえぎ始める

車両が停車すると、空気の抜けるような音ともにドアが開いたのが感じられた。重藤は立ち上がり、通路に 数珠 繫 ぎになった乗客たちの隙間に入り込んだ。

ジョリ、ジョリ、ジョリッと、ジャリの中にでも潜り込むような、嫌な音を立てて、列車はやっと停止した

慣れた操作で車を発進させる

フロントガラスに木漏れ陽が明滅する湖岸道路を抜け

鉄でできたキリンのようなクレーン

（船上の夜明け）美しい夜あけである。乳色の涼しいしぶきを蹴って、この古びた酒荷船は、颯々（さっさつ）と風を切って走っている。月もまだうすく光っていた。

（ロケットエンジンの燃焼テスト。ロケットエンジンの）銀色のスカートが、轟然と噴き出した白煙と炎にまみれたのはそのときだ。 　モニタが映し出しているその光景は、無音だ。その中でエンジンだけが生命を吹き込まれ、猛然と炎を噴出し、巨大なエネルギーを消費している。無声映画を観ているような不思議な光景の中で、燃焼時間の自動カウントだけが続いていた。