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遠くで、かすかに、鶏の声がする。いつか夜の明けるのも、近づいたらしい。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:97% 作品を確認(青空文庫)
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夜明け
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前後の文章を含んだ引用
......たと言うものじゃ。」 「死骸 は、あの藪中 へ埋めずばなるまい。」 「鴉 の餌食 にするのも、気の毒じゃな。」 盗人たちは、口々にこんな事を、うす寒そうに、話し合った。と、遠くで、かすかに、鶏の声がする。いつか夜の明けるのも、近づいたらしい。 「阿濃は?」と沙金が言った。 「わしが、あり合わせの衣 をかけて、寝かせて来た。あのからだじゃて、大事はあるまい。」 平六の答えも、日ごろに似ずものやさしい。 その......
単語の意味
鶏・鷄・雞(にわとり・かけ・くたかけ)
鶏・鷄・雞・・・キジ科の家禽。卵や肉を食用にするために飼う鳥。ペットとして飼うこともある。名前の由来は庭にいる鳥で「庭鳥」から。鶏冠(とさか)があり雄(おす)のそれは大きい。ほとんど飛べない。雄は夜明けを告げて魔を払うと信じられていた。「かけ」「くたかけ」は古名。
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