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彼の眼玉がかように晦渋溷濁かいじゅうこんだくの悲境に彷徨ほうこうしているのは、とりも直さず彼の頭脳が不透不明ふとうふめいの実質から構成されていて、その作用が暗憺溟濛あんたんめいもうの極に達しているから、自然とこれが形体の上にあらわれて、知らぬ母親にいらぬ心配を掛けたんだろう。煙たって火あるを知り、まなこ濁ってなるを証す。して見ると彼の眼は彼の心の象徴で、彼の心は天保銭てんぽうせんのごとく穴があいているから、彼の眼もまた天保銭と同じく、大きな割合に通用しないに違ない。
※備考※ 彼の目玉が濁っているのは彼の頭脳や心が濁っている象徴に違いない
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:69% 作品を確認(青空文庫)
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にごった目・汚れた瞳
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前後の文章を含んだ引用
......そうだが、せっかく母親の丹精も、あるにその甲斐かいあらばこそ、今日こんにちまで生れた当時のままでぼんやりしている。吾輩ひそかに思うにこの状態は決して胎毒や疱瘡のためではない。彼の眼玉がかように晦渋溷濁かいじゅうこんだくの悲境に彷徨ほうこうしているのは、とりも直さず彼の頭脳が不透不明ふとうふめいの実質から構成されていて、その作用が暗憺溟濛あんたんめいもうの極に達しているから、自然とこれが形体の上にあらわれて、知らぬ母親にいらぬ心配を掛けたんだろう。煙たって火あるを知り、まなこ濁ってなるを証す。して見ると彼の眼は彼の心の象徴で、彼の心は天保銭てんぽうせんのごとく穴があいているから、彼の眼もまた天保銭と同じく、大きな割合に通用しないに違ない。  今度はひげをねじり始めた。元来から行儀のよくない髯でみんな思い思いの姿勢をとってえている。いくら個人主義が流行はやる世の中だって、こう町々まちまち我儘わがままを尽くされては持......
単語の意味
彷徨(ほうこう)
象徴(しょうちょう)
彷徨・・・行くあてもなく歩きさまよう事。うろうろすること。
象徴・・・シンボル。ある意味を表す記号。具体的でない考えや物事、分かりやすく説明するための用いるもの(こと)。
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眼光は鋭利な刃物を連想させた
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
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