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(思い出に胸を痛める)過ぎ去った時間が鋭く尖った長い串となって、彼の心臓を刺し貫いた。無音の銀色の痛みがやってきて、背骨を凍てついた氷の柱に変えた。その痛みはいつまでも同じ強さでそこに留まっていた。彼は息を止め、目を堅く閉じてじっと痛みに耐えた。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......ーをしていた。二つのチームに分かれて、互いのゴールにボールを蹴り込む。つくるはボールをパスしながら、窓から流れてくるピアノの音階練習を聴くともなく聴いていた。 過ぎ去った時間が鋭く尖った長い串となって、彼の心臓を刺し貫いた。無音の銀色の痛みがやってきて、背骨を凍てついた氷の柱に変えた。その痛みはいつまでも同じ強さでそこに留まっていた。彼は息を止め、目を堅く閉じてじっと痛みに耐えた。アルフレート・ブレンデルは端正な演奏を続けていた。曲集は「第一年・スイス」から「第二年・イタリア」へと移った。 そのとき彼はようやくすべてを受け入れることができ......
単語の意味
胸を痛める(むねをいためる)
胸(むね)
無音(むおん・ぶいん)
胸を痛める・・・すごく心配する。心を悩ます。
無音・・・1.(「むおん」と読んで)音がしないこと。また、音が一切聞こえないこと。
2.(「ぶいん」と読んで)挨拶するのが適切であるのに、挨拶のないこと。また、しばらく便りをしないこと。音信が途絶えること。(ご)無沙汰(ぶさた)。
2.(「ぶいん」と読んで)挨拶するのが適切であるのに、挨拶のないこと。また、しばらく便りをしないこと。音信が途絶えること。(ご)無沙汰(ぶさた)。
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幼少年期の記憶が軀(からだ)の中を風のように通り抜ける
吉行 淳之介 / 砂の上の植物群 amazon
スタンの思い出を暖かい墓場の中で、おれは培養したくない
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
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「あれは、私が最後に手がけた捜査だった──」 と言いながら、一瞬だけ庭先へ目を向けた。 はるか昔の光景を見やったのだ。 日下には、そう思えた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
砂が両手からこぼれ落ちていくかのように、記憶が少しずつ失われる
小池 真理子 / やさしい夜の殺意 amazon
思い出がよみがえってきて、湯気のようにしっとりと胸を温める
壷井 栄 / 大根の葉 (1960年) amazon
(初恋を思い出す)彼の心はことあるごとに、二十年前の午後の教室に引き戻された。まるで波打ち際に立って、強い退き波に足をさらわれている人のように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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