そういうやり取りが遠のいてゆき、いつしかうとうと寝ていた。 　波音と、店から聴こえてくる音楽との間に短く、強烈に夢が忍び込んできた。

ふと気づくと、さとみは目を閉じ、壁に頭を凭せかけて眠り込んでいた。

二時間ほどねむって目ざめると、腹も頭もすっきりとしている。

ちょっと目を閉じるだけのつもりが、ぐっすり眠り込んでしまった

30 分ばかりそこに横になって、少しだけうとうとと眠ったが、そのあいだビーチをおとずれる人間はひとりもいなかった。そのうちにぼくは不思議なくらいしんとした気持ちになってきた。その浜辺はひとりぼっちで訪れるにはあまりにも静かであり、あまりにも美しすぎた。そこにはある種の死に方を想い起こさせるものがあった。

いまに机に 俯うつぶ して眠ってしまう

（眠りが浅い）ぼくはその脈絡のない眠りの中で──あるいは不確かな覚醒の中で──すみれのことを考えた。

足を踏み外して、真っ暗な底なしの穴に落下していくような深い眠りだった。瞼が自然にかぶさり、次の瞬間に意識が消滅した。

闇を見つめて悶々としているうちに、じりじり時間がたっていく。　夜中の一時近くなって、やっと眠気の尻っ尾をつかんだような気がした。それを慎重にたぐり寄せていく。ドブネズミのようなその長い尾を引いていくと、その先に短い夢があった。灰色の淋しい街の風景のような、一瞬の夢。

泥のように疲れて眠っている。