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山彙さんいからわけ出て来た二つの溪が落合っていた。
梶井基次郎 / 蒼穹 ページ位置:25% 作品を確認(青空文庫)
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崖・谷・断崖絶壁
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......さばかりが感じられた。そして雲はなにかそうした安逸の非運を悲しんでいるかのように思われるのだった。  私は眼をたにの方の眺めへ移した。私の眼の下ではこの半島の中心の山彙さんいからわけ出て来た二つの溪が落合っていた。二つの溪の間へ楔子くさびのように立っている山と、前方を屏風びょうぶのようにふさいでいる山との間には、一つの溪をその上流へかけて十二単衣ひとえのような山褶やまひだが交互に重なっていた。そしてそ......
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