その半年ばかりを僕は暗い穴の中で過ごしたような気がする。草原のまん中に僕のサイズに合った穴を掘り、そこにすっぽりと身を埋め、そして全ての音に耳を塞いだ。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
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孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......始めた。 さあ、もういいぜ、と鼠は口に出して言ってみた。夜は長い、ゆっくり考えろ。 僕が本当にピンボールの呪術の世界に入りこんだのは一九七〇年の冬のことだった。その半年ばかりを僕は暗い穴の中で過ごしたような気がする。草原のまん中に僕のサイズに合った穴を掘り、そこにすっぽりと身を埋め、そして全ての音に耳を塞いだ。何ひとつ僕の興味をひきはしなかった。そして夕方になると目を覚ましてコートを着こみ、ゲーム・センターの片隅で時を送った。 機械はやっとみつけた3フリッパーの「スペ......
単語の意味
草原(そうげん・くさはら)
草原・・・一面に草が生えている広い野原。
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己れの肉感が暮色の中にとろけ果ててでも行くような、頼みがたい孤独
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
先生は眠りにつき、いとこは合宿にでかけ、数学科の彼は行方不明になっている。わたしは本当に一人きりだった。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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暗い淋しい気持が廻りから締めつけて来る。彼はそれにおさえられ、身動きもならず、ただ 凝然 としているより仕方ない気持だった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
胸いっぱいこの孤独な空気で満たされてしまう。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
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