TOP > 人物表現 > 動作・仕草・クセ > 文字を書く・執筆する
私が書いている時代小説というものを、たとえていえば、 「今日は、姉川の戦場に大軍をひきいて戦う織田信長を書く」 そして、 「明日は、江戸の町の片隅で、その日暮しを送っている叩き大工を書かねばならない」 のであるから、気分を転換させることが実に骨が折れるのだ。自分では気づかぬことだが、家人にいわせると、信長のような英雄を書いているときは、むずかしい顔をして威張っているらしい。 酒のみの大工や八百屋を書いているときは、むやみと饒舌になり、晩酌の量もふえるという。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
文字を書く・執筆する
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......かぬと、忘れてしまう。 私は、決してぜいたくをいわぬが、なにしろ、家に引きこもって数日間、仕事をしつづけていると、食べることだけが唯一のなぐさめになってしまう。私が書いている時代小説というものを、たとえていえば、「今日は、姉川の戦場に大軍をひきいて戦う織田信長を書く」 そして、「明日は、江戸の町の片隅で、その日暮しを送っている叩き大工を書かねばならない」 のであるから、気分を転換させることが実に骨が折れるのだ。自分では気づかぬことだが、家人にいわせると、信長のような英雄を書いているときは、むずかしい顔をして威張っているらしい。 酒のみの大工や八百屋を書いているときは、むやみと饒舌になり、晩酌の量もふえるという。 外出をして、気分を変える時間がとれず、三日も四日も家に引きこもっていたりすると、知らず知らず、日に二、三度も着物を着替えたりすることがある。これも単調な時間の......
単語の意味
蜩・茅蜩・秋蜩・日暮・晩蝉(ひぐらし)
大工(だいく)
蜩・茅蜩・秋蜩・日暮・晩蝉・・・セミ科の一種。夏から秋にかけて、明け方や夕方に「カナカナ」と鳴く蝉(せみ)。日暮れ時に鳴くため「日を暮れさせる蝉」としたのが名前の由来。カナカナ、カナカナ蝉とも。
大工・・・建物の建築や修理をする職人。また、その仕事。とくに木造の建物を扱う者をいう。。「工」は訓読みで「たくみ(=匠)」と読め「職人」「物を作る人」のこと。
ここに意味を表示
文字を書く・執筆するの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(演劇の脚本を書く)彫刻を削るように無駄を排除して言葉を整え、一秒一秒の見せ方さえも限界まで可能性を探った。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
歴史の英雄を過度に美化して描く
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
筆の動くままにそこにあった紙きれに字を書いてみた。
有島武郎 / 或る女
このカテゴリを全部見る
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
さっきから小便が催うしている。身内 の筋肉はむずむずする。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
笑い声が、わずかに大きくなる。うつむいた首筋と薄い肩が揺れる。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
倉地の広い胸と太い腕との間に羽 がいに抱きしめられながら
有島武郎 / 或る女
(ウインドウショッピング)買う気もないのに、しゃれたデザインのメモパッドやペンケースを順々に手にとってみる。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「言葉・話」カテゴリからランダム5
人間というものは一つ得るためには何か他の一つを犠牲にしなければならないものなのね
宮本百合子 / 伸子
「倒錯的な心理があるんじゃないかな。普通の状態とは逆な、倒錯した一種の恍惚的な心理が」 背の低い警察医が、そんな不似合な文学的な言葉をつかったので、刑事たちの間に、小さな笑いが起こった。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
動作・仕草・クセ の表現の一覧
言葉・話 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ