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伊吹の声が、私のすぐ横で薄暗い空気を揺すっている。 私はその振動を、鼓膜で齧るようにゆっくり耳の中に吸い込みながら歩いていた。
村田 沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」に収録 ページ位置:67% 作品を確認(amazon)
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耳を澄ます・聞き耳を立てる
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......いかな」「でも、雪が降るとサッカーできないよ?」「おれら、雪でもやるよー。去年それやって、すっごい風邪ひいたけど」 教室では耳たぶの先で感じることしかできない、伊吹の声が、私のすぐ横で薄暗い空気を揺すっている。 私はその振動を、鼓膜で齧るようにゆっくり耳の中に吸い込みながら歩いていた。「今度、井上と荒木と、隣町まで自転車で行くんだー」「ふうん」 あからさまに声を低くした私を、伊吹が不思議そうに見た。「どうしたの?」「べつに。伊吹って、井上くん......
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小鳥の羽根が一枚、抜け落ちる音さえ聞き逃さない。
小川 洋子 / 盲腸線の秘密「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
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大部屋は老人病棟のように静まり返っていた。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
ピアノを弾いている女の子をぼんやりと眺めていた。彼女は二十歳前後で、肩までの厚ぼったい髪をケーキにのせたホイップ・クリームみたいにきちんとセットしていた。リズムに合わせて髪は気持良さそうに左右に揺れ、曲が終るとまたまんなかに戻った。そして次の曲が始まる。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
湖水に降る雨の音のように、魂に道行く人々の足音が降り注ぐ
川端 康成 / 掌の小説 amazon
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