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(失踪した友人の部屋で友人の自殺を心配する)雨が降ってきた。窓の外から、しとしとと暗い音が聞こえてきた。夜にまぎれて訪れる、 憂鬱 な気配は満潮のように空気にたくさん含まれてやってきて、肉体を使っての私たちのあがきを冷ややかに見つめる。死の影。目をそらすと忍び寄ってくる無力感、気を許すと飲みこまれる不毛。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 ページ位置:83% 作品を確認(amazon)
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喪失感(大切なものを失う)
雨
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前後の文章を含んだ引用
......棚の陰、揺れるカーテン、テーブルの脚のところ。そういうささやかな暗闇が、現実から少しずつずれていた。「呪いってあったのかな、萃の言ったように。」 私は言った。 雨が降ってきた。窓の外から、しとしとと暗い音が聞こえてきた。夜にまぎれて訪れる、憂鬱な気配は満潮のように空気にたくさん含まれてやってきて、肉体を使っての私たちのあがきを冷ややかに見つめる。死の影。目をそらすと忍び寄ってくる無力感、気を許すと飲みこまれる不毛。「物理的には知らない。でも、雰囲気としてはあったと思うな。何をしていても、2人でいると無駄なように思えた。退廃的なんじゃなくて、力が抜けるような投げやりな気分が......
単語の意味
憂鬱(ゆううつ)
肉体(にくたい)
憂鬱・・・気分が落ち込んだ状態。重苦しい気分。メランコリー。
肉体・・・肉から構成されている体。生きている人間の体。生身の体。
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自分の中の最も大切な部分をごっそりと削り取られてしまったような空虚感を抱えている。それで、バランスが崩れてしまって、今はふらつきながら辛うじて立っているような状態だった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
(自殺した友子)そしてわかった。自分が実は友子を恨んでいるということ。あの夜彼女は自分の言いたいことだけ言い、思い残すことなくこの世を去り、智明の心だけがあの夜の中に置き去りにされたこと。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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「心」の言葉を含む悲しみの表現・描写・類語(雨・霧のカテゴリ)の一覧 ランダム5
心の中に苦い水が湧いて来るのを感じた。目には新しい涙が滲む。その涙は、聞きわけのよい薬のようにクラウスの心に染み込み、毒を流した。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 amazon
ぼくの心は白々とむなしかった。
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
ソファに腰を下ろすと、放心したように 項垂れた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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首をひねられた鶏のように、首をガクリ胸に落し込んで
小林多喜二 / 蟹工船
急に雨戸を繰って雪景色に驚いたようなそんな空虚さ
林 芙美子 / 耳輪のついた馬「風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
人形のように手足を伸ばした死体
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
(父の死)父さんも母さんも同じだけ好きだったはずなのに、てんびんの片方の皿がなくなってしまってからは、それをどう確かめていいかわからなくなってしまった。
朝井 リョウ / 僕は魔法が使えない「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「雨・霧」カテゴリからランダム5
灰をかぶるような激しい雨
林芙美子 / 新版 放浪記
雨滴の数は少しずつ多くなり、やがて、草原いっぱいにハープの糸のような雨の幕がひろがってゆきました。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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