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その果実を鼻に持っていっては嗅 いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲 つ」という言葉が断 れぎれに浮かんで来る。
梶井基次郎 / 檸檬 ページ位置:63% 作品を確認(青空文庫)
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嗅ぐ・におってみる
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前後の文章を含んだ引用
......をしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。その熱い故 だったのだろう、握っている掌から身内に浸み透ってゆくようなその冷たさは快いものだった。 私は何度も何度もその果実を鼻に持っていっては嗅 いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲 つ」という言葉が断 れぎれに浮かんで来る。そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸い込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来てなんだか身内に元気が目覚めて来......
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嗅ぐ・におってみるの表現・描写・類語(におい・香りのカテゴリ)の一覧 ランダム5
犬のように男の匂いを嗅ぎ分ける
石川 達三 / 独りきりの世界 amazon
私は厭なコロロホルムの匂いを押し花のように鼻におし当てていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
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「におい・香り」カテゴリからランダム5
その整髪料なのか香水なのか、会うなり、挨拶よりも先に、むっとするような匂いが飛びかかって来た。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
懐しい草の匂いが鼻をついた。ずっと昔のピクニックの匂いだ。五月の風はそのように時の彼方から吹き込んできた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
「呼吸」カテゴリからランダム5
(全身の筋肉を使って、深く繰り返す呼吸)呼吸は通常の呼吸ではなかった。身体全体をくまなく使って行われる、特別な目的と機能を持った呼吸だった。肩胛骨と横隔膜が大きく動き、拡大収縮している様が思い浮かぶ。《…略…》長く厳しい訓練によってしか習得することのできない特殊な呼吸法だ。《…略…》やがて大きな機械が操業を終えるときのように、呼吸が段階を踏んで止んだ。呼吸と呼吸とのあいだの間隔が徐々に長くなり、最後にすべてを絞りきるように長く息が吐き出された。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
布団の中で、勝治の濁った咳がこもる。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
まるで体中が肺ででき上った人形ででもあるように、幾度も幾度も飽かずに深呼吸をしている
葉山 嘉樹 / 海に生くる人々 amazon
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