パエリァ・ヴァレンシアーナは、サフラン入りの黄色いごはんで、貝やエビを入れてたき込み、トリや豚肉、ピーマンなどでかざりつけた、なかなか豪華なごはん料理だ。

スペインのバレンシア風たきこみご飯パエリャ・バレンシアーナは、サフランご飯の最高傑作である。

（サフランライス）サフランは漢方薬でもあるが、なかなかお値段も高い。しかし私は、ちょっとほろにがいようなサフランの香りが好きだし、あざやかな黄色が美しいので、お客さまのときはよく作る。

パエリャ・バレンシアーナのおいしいところは、殻つきの貝のなかに入りこんだサフランご飯で、みな殻を手にもって歯でしごくようにして食べることだ。

全体が混然としてうまみが絡み合っているパエリア

おにぎりにかぶりつく。湿った海苔を歯で破る感触と塩味が、口中にしみわたる。

炊き立てのご飯でむすぶ塩むすびほど微妙でふくよかな味はない

本来重く粘りつくご飯が、湯や茶に出会うとなぜか粘り気を失って、その温かな液体の中でサラサラと動き、軽々と喉の奥へ送り込まれていく。茶漬けはそういう軽い流れが心地いい。

ふたを開けると中から醤油とみりんと酒とタコと飯が合作した食欲を奮い立たす芳香が立ち上がる

雑炊はお腹にもたれず、飲んだ後の夜食に最適である