心に火が点いていた。 現場に飛びたい。 それは大きな発火ではなかったが、導火線を走る火種のように爆発の予兆を孕んだ願望だった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 ページ位置:10% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
欲望・本能・欲求
我慢できない・気持ちが抑えられない
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......正気に戻った。「外回り全員のポケベルを呼べ!」「東京だ! 羽田を当たらせろ!」「日航に電話ぶち込め! 乗客名簿を急がせろ!」 悠木はドアの前に棒立ちしていた。 心に火が点いていた。 現場に飛びたい。 それは大きな発火ではなかったが、導火線を走る火種のように爆発の予兆を孕んだ願望だった。 だが──。 まだ不明だった。群馬。長野。埼玉。ジャンボ機はいったいどこに墜落したのか。「悠木」 声に顔を向けた。粕谷局長がこちらに向かってくる。 嫌な予感がし......
単語の意味
孕む・妊む(はらむ)
予兆(よちょう)
予兆・・・何かが起こることを予感させる変化や現象。前触れ。前兆。
ここに意味を表示
欲望・本能・欲求の表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。とどきそうにない遠くのお星さまに向かって手を伸ばす、このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれない。みんなの欲しがる気持ちが競争を生み、切磋琢磨でより質の高いものが生みだされていくのですね。でも疲れたな。まず首が疲れた。だってずっと上向いてるし。いつからだろう、さらなる飛躍という言葉が階段を駆けのぼるイメージではなくなり、遠くで輝くものを飛び上がってつかみ取り、すぐに飽きてまるきり価値のないものとして暗い足元へ放る、そしてまた遠くへ向かって手を伸ばす、そのくり返しのイメージに変わってきたのは。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
既に志津子に対する欲求は、彼の身体の最深部のところで、かすかに動いているにすぎなかった。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
ひたむきに狂暴な欲念が胸の中でははち切れそうに煮えくり返っていた。
有島武郎 / 或る女
(無欲)木つつきのように、何処へでも穴を開けて、そこへものを置きっぱなしで行く無慾な放浪の女心
林 芙美子 / 牛肉―林芙美子小説集 amazon
このカテゴリを全部見る
我慢できない・気持ちが抑えられないの表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(衝動殺人)衝動を生むほどのマグマが武内に隠されていた
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
その時の倉地はもうふだんの倉地ではなくなっていた。
有島武郎 / 或る女
このカテゴリを全部見る
「心」の言葉を含む好きの表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
遠い昔のような、心もちがする。
芥川龍之介 / 偸盗
「神様が世界をたったの七日で作れたのは、好奇心のおかげなんだよ」
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
好きの比喩表現の例文 一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
我慢・諦めの比喩表現の例文 一覧 ランダム5
地の底の地獄の門まで墜落してゆきたいようなやぶれかぶれな気持ち
林 芙美子 / うず潮 (1964年) amazon
彼の分別のあった心は、闘牛者の槍を受けた牡牛のように荒んでしまった。
菊池 寛 / 恩讐の彼方に amazon
このカテゴリを全部見る
「好き」カテゴリからランダム5
末子として両親からなめるほど溺愛 もされ
有島武郎 / 或る女
ますますはっきり私に慾望化して来た。
岡本かの子 / 河明り
「我慢・諦め」カテゴリからランダム5
喜怒哀楽を顔にあらわさぬ
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
好き の表現の一覧
我慢・諦め の表現の一覧
我慢・諦めの感覚、精神的な反応
我慢・諦めの表情、リアクション
その他の我慢・諦めの表現
感情表現 大カテゴリ