矢音のぶうんという音さえ、蜜蜂の羽音のようにものうい。

矢は乾いた、するどいひびきをたてて空気を裂き

矢が的板に当るたびに、畳を叩くような音が出るのであった。

弦打ちの音が、さながら蝙蝠（こうもり）の羽音のよう

釣り糸を垂れている人の姿が置物のように動かない

レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 　いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 　弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。

打球はさながら悪魔の背に乗ったように思い通りの位置へ飛んで行く。

恐れを知らない猪のように、キューは勢いよくボールにぶつかる

一台の飛行機から、ぱっぱっと白い煙の玉を吐くように幾つも落下傘が飛び出した。