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自分ではまっすぐに釘店 のほうに急ぐつもりでいた。ところが実際は目に見えぬ力で人力車に結び付けられでもしたように、知らず知らず人力車の通ったとおりの道を歩いて、はっと気がついた時にはいつのまにか、乳母が住む下谷 池 の端 の或 る曲がり角 に来て立っていた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:25% 作品を確認(青空文庫)
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反射的・とっさに・無意識に
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前後の文章を含んだ引用
......は傘 を杖 にしながら思いにふけって歩いて行った。 こもった哀愁が、発しない酒のように、葉子のこめかみをちかちかと痛めた。葉子は人力車の行くえを見失っていた。そして自分ではまっすぐに釘店 のほうに急ぐつもりでいた。ところが実際は目に見えぬ力で人力車に結び付けられでもしたように、知らず知らず人力車の通ったとおりの道を歩いて、はっと気がついた時にはいつのまにか、乳母が住む下谷 池 の端 の或 る曲がり角 に来て立っていた。 そこで葉子はぎょっとして立ちどまってしまった。短くなりまさった日は本郷 の高台に隠れて、往来には厨 の煙とも夕靄 ともつかぬ薄い霧がただよって、街頭のランプの灯 がこ......
単語の意味
乳母(うば)
釘店(くぎだな)
乳母・・・乳のでない母親に代わって赤ん坊に乳を与えて、育てる女性。現在のような良質の粉ミルクが得られない時代に活躍した。
釘店・・・江戸時代から、日本橋の北の通りの西側一帯をいった。釘や金物の店が多かったことが由来。
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反射のように答えた。
松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
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暖炉のまえで並んでウイスキーを飲みながら、あまり 喋らずに夜を待った。 その待ちかたが下品でも 貪欲 でもなく、まるですごくよく晴れた朝にやはり美しいに違いない夕焼けを待っているような、来るべきものに対して 鷹揚 なよい時間だった。
吉本 ばなな / 大川端奇譚「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
思春期の少年らしい中途半端な会釈
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
押入れに順序も見境いもなく、ゴミ溜めにゴミ屑を入れるように一切合財がほうり込まれる
安岡 章太郎 / 海辺の光景 amazon
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