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ビールが出てくるまでに十分かかった。僕はそのあいだ椅子の肘かけの上で頰杖をついて目を閉じていた。何も思いつかなかった。目を閉じていると、何百人もの小人がほうきで頭の中を掃いているような音がした。いつまでたっても彼らは掃きつづけていた。ちりとりを使うことを誰も思いつかないのだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:41% 作品を確認(amazon)
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アイデアが出ない・生みの苦しみ
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......らせていた。彼女たちのサンダルのコツコツという音がタイル貼りの舗道に響いていた。 僕は高層ホテルの最上階に上って、広いバーに入り、ハイネケン・ビールを注文した。ビールが出てくるまでに十分かかった。僕はそのあいだ椅子の肘かけの上で頰杖をついて目を閉じていた。何も思いつかなかった。目を閉じていると、何百人もの小人がほうきで頭の中を掃いているような音がした。いつまでたっても彼らは掃きつづけていた。ちりとりを使うことを誰も思いつかないのだ。 ビールが運ばれてくると、僕はそれを二口で飲んだ。そして小皿についてきたピーナツも全部食べた。もうほうきの音は聞こえなかった。僕はレジのわきにある電話ボックスに......
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筆はますます渋るばかりだった。軽い陣痛のようなものは時々起こりはしたが、大切な文字は生まれ出てくれなかった。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
私はどうしたらいいであろうと途方にくれるのであった。だが、私は創作上こういう取り止めない状態に陥ることには、慣れてもいた。強いて焦せっても仕方がない、その状態に堪えていて苦しい経験の末に教えられたことも度々ある。
岡本かの子 / 河明り
これ以上頭を使ってもはっきりしたシルエットは浮かんでこない。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
尊い一つの魂が母胎を破り出ようとして苦しんでいる
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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