美しい斜線が遠い裾まで伸びている山の端

向こう岸には闇よりも濃い樹の闇、山の闇がもくもくと空へ押しのぼっていた。そのなかで一本椋（むく）の樹の幹だけがほの白く闇のなかから浮かんで見える

民家の向こうにこんもりとした山の輪郭が重なり、そのさらに向こうに、青に霞む山の稜線がある。

海に向かって開いた奥深い谷の真ん中をめがけて、牛がのさばりでたような格好をしている峰

荒涼とした枯れた潅木まじりの岩山

前方を屏風（びょうぶ）のように塞（ふさ）いでいる山

なだらかな山頂を持った山の光景

燃え立つようなオレンジ色に染まる地平線

富士山のてっぺんに王冠みたいに雲がかかる

林の中は暗く道は細かった。 樫かし や 櫟くぬぎ に似た大木の聳える間を、名も知れぬ低い雑木が 隙間 なく埋め、 蔦つた や 蔓つる を張りめぐらしていた。四季の別なく落ち続ける、熱帯の落葉が道に朽ち、柔らかい感触を 靴くつ 裏うら に伝えた。静寂の中に、新しい落葉が、 武蔵野 の道のようにかさこそと 足許あしもと で鳴った。