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モルヒネを注射しました。不安も、焦燥 も、はにかみも、綺麗 に除去せられ、自分は甚だ陽気な能弁家になるのでした。そうして、その注射をすると自分は、からだの衰弱も忘れて、漫画の仕事に精が出て、自分で画きながら噴き出してしまうほど珍妙な趣向が生れるのでした。 一日一本のつもりが、二本になり、四本になった頃には、自分はもうそれが無ければ、仕事が出来ないようになっていました。
太宰治 / 人間失格 ページ位置:91% 作品を確認(青空文庫)
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麻薬・覚せい剤・ドラッグ
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前後の文章を含んだ引用
......、酒の酔いもさすがに不潔に感ぜられて来た矢先でもあったし、久し振りにアルコールというサタンからのがれる事の出来る喜びもあり、何の躊躇 も無く、自分は自分の腕に、そのモルヒネを注射しました。不安も、焦燥 も、はにかみも、綺麗 に除去せられ、自分は甚だ陽気な能弁家になるのでした。そうして、その注射をすると自分は、からだの衰弱も忘れて、漫画の仕事に精が出て、自分で画きながら噴き出してしまうほど珍妙な趣向が生れるのでした。 一日一本のつもりが、二本になり、四本になった頃には、自分はもうそれが無ければ、仕事が出来ないようになっていました。 「いけませんよ、中毒になったら、そりゃもう、たいへんです」 薬屋の奥さんにそう言われると、自分はもう可成りの中毒患者になってしまったような気がして来て、(......
単語の意味
焦燥(しょうそう)
陽気(ようき)
焦燥・・・苛立ち。焦り。イライラすること。
陽気・・・1.天候。時候。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
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麻薬・覚せい剤・ドラッグの表現・描写・類語(事件・事故のカテゴリ)の一覧 ランダム5
オキナワ(人の名)は注射針の先端をライターで炙っている。アルコールで湿した脱脂綿で拭いて消毒してから息を吹き入れ穴が詰まっていないかテストする。《…略…》アルミ箔のヘロインを耳掻きで中央に集め《…略…》スプーンの中に、マッチ棒の頭くらいの量だけ耳掻きでヘロインを入れる。《…略…》スポイトで吸い上げる戦場用の一CC注射器に針を填(は)める。レイ子が蝋燭に火をつけた。注射器で、スプーンの中のヘロインに注意深く水滴を垂らす。《…略…》スプーンを蝋燭に翳(かざ)す。あっという間に水溶液は沸騰する。スプーンは内側に泡と湯気をたて、底は黒い煤で汚れる。オキナワはゆっくりと火から離し、赤ん坊にスープを飲ませる時のように息を吹きかけて冷やす。《…略…》小さくちぎった親指の爪程の脱脂綿をさめた液に浸す。オキナワは湿って重くなった脱脂綿の中に針先を沈めた。かすかな音を出して、ちょうど赤ん坊が乳を吸うような音で透明な液体が細いガラス管に少しずつ溜まっていく。吸い終わると唇を舌で舐めながら、オキナワは少しだけスポイトを押し、注射器内の空気を抜く。《…略…》レイ子は口を尖らせてオキナワを睨み皮紐で僕の腕をきつく絞り上げた。左拳を握りしめると太い血管が浮き出る。アルコールで二、三度擦るとオキナワは濡れている針先を脹れた血管目がけて皮膚に沈めた。握りしめていた拳を開くとシリンダー内に黒っぽい僕の血が逆流してくる。ほらほらほら、と言いながらオキナワはスポイトを静かに押し、血と混じり合ったヘロインを一気に僕の中に入れた。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
「薬が無いと仕事がちっとも、はかどらないんだよ。僕には、あれは強精剤みたいなものなんだ」
太宰治 / 人間失格
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「事件・事故」カテゴリからランダム5
あちこちに飛び火する炎を、ひとつひとつ水で塗り消していく。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
ボンネットは山形に盛り上がり、バンパーもヘッドライトもぐしゃりと押し潰されている。フロントガラスも粉々だったが、センターピラーはひしゃげてなく、大破といっても衝撃はリアシートにまでは及ばなかったと想像できる。
鈴木 光司 / らせん amazon
同じマンションのカレとファン裏切り親密デートの日々――墨に浸した拳で書いたような、太くて大きな文字が、見開きのページを横断している。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
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