とかげ(人名)がコートをはおるのを見るのが好きだ。 靴 を履こうとかがんだときの首が。鏡をのぞくうわめづかいが。いろいろな場面のいろいろなとかげ。死にゆく細胞。生まれ続ける細胞。ほほの張り、つめの白い半月。生きている、水分をたたえて、流れに乗って。それを感じる。彼女の一挙一動に、生きているはずの自分を映し出すことができる。
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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愛する・愛情
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前後の文章を含んだ引用
......患者を見せて、頑張れよ……っていうんじゃないでしょうね。」 と言ってとかげは笑い、薄いコートをはおった。「その案、いただき。」 冗談を言って私も立ち上がった。 とかげがコートをはおるのを見るのが好きだ。靴を履こうとかがんだときの首が。鏡をのぞくうわめづかいが。いろいろな場面のいろいろなとかげ。死にゆく細胞。生まれ続ける細胞。ほほの張り、つめの白い半月。生きている、水分をたたえて、流れに乗って。それを感じる。彼女の一挙一動に、生きているはずの自分を映し出すことができる。 初夏の匂いが、街じゅうにあふれていた。 穏やかで力があって、苦しいほどの草の匂いがする。「どこへ?」 とかげが聞いた。「2人で外出するのが、あんまり久しぶりな......
単語の意味
半月(はんげつ)
首・頸・頚(くび)
半月・・・半円の形の月。弦月(げんげつ)。弓張り月。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
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