TOP > 人物表現 > 記憶 > 認知症・アルツハイマー病
お祖母さんは勝子の名前を、その当時もう女学校へ上っていたはずの信子の名と、よく呼び違えた。《…略…》まだ信子を知らなかった峻には、お祖母さんが呼び違えるたびごとに、信子という名を持った十四五の娘が頭に親しく想像された。
※備考※ 勝子は幼女
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:64% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
認知症・アルツハイマー病
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......が故郷ではなく、勝子のお守りでもする気で出かけて行った北牟婁 の山の中だっただけに、もう一つその感じは深かった。 峻が北牟婁 へ行ったのは、その事件の以前であった。お祖母さんは勝子の名前を、その当時もう女学校へ上っていたはずの信子の名と、よく呼び違えた。信子はその当時母などとこちらにいた。まだ信子を知らなかった峻には、お祖母さんが呼び違えるたびごとに、信子という名を持った十四五の娘が頭に親しく想像された。 峻は原っぱに面した窓に倚 りかかって外を眺めていた。 灰色の雲が空一帯を罩 めていた。それはずっと奥深くも見え、また地上低く垂れ下がっているようにも思えた。 ......
ここに意味を表示
認知症・アルツハイマー病の表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(認知症患者)自らの内側で徐々に広がっていく空白と共存することを余儀なくされている。今はまだ空白と記憶がせめぎあっている。しかしやがては空白が、本人がそれを望もうと望むまいと、残されている記憶を完全に呑み込んでしまうことだろう。それは時間の問題でしかない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
(自分が何者か思い出せない)タッタ一人で宇宙間を浮游 する、悲しい、淋しい、無名の一微塵 に過ぎないのであった。
夢野久作 / ドグラ・マグラ
「元気ですか?」と天吾(息子)は尋ねた。「おかげさまで」と父親はあらたまった口調で言った。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
このカテゴリを全部見る
「記憶」カテゴリからランダム5
掌から零(こぼ)れ出すほどの過去を一筋一筋と摘み上げては、歩いて来た道を憶(おも)い出す
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
背は、高かったと思う。それとも背筋がすっと伸びていて、首が長かったからそう見えたのかもしれない。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
列車が揺れるたびに、女のゴム長についた鱗は鋭く光った。何の脈絡もなく、千代はその無数の光から、何年か前に別れた我が子の 項 の細さを思い出し、はっとして坐り直した。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
足もとから疲労がドッと押し寄せて来て、ヘナヘナと縁先に腰を落とす
阿刀田 高 / ナポレオン狂 amazon
月の満ち欠けみたいに几帳面に(規則正しく生理がくる)
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
(霜焼け)火ぶくれしたような赤い私の足指
林芙美子 / 新版 放浪記
同じカテゴリの表現一覧
記憶 の表現の一覧
健康・体調・病気 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ