「はてな、俺は恋を? ……」 一度思った女は、きっと、命がけでも取ってきた一角の経験と興味が、また、春と一緒に、胸の中に、頭を擡 げだした。
吉川英治 / 無宿人国記 ページ位置:36% 作品を確認(青空文庫)
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恋に落ちる
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前後の文章を含んだ引用
......尖っていたので、そんな心は出なかったが――。 夜と、昼も、彼はお八重の顔を頭に描いた。――お八重か、お里か、けじめのない一つの眸が、いつも、彼の前にちらついた。 「はてな、俺は恋を? ……」 一度思った女は、きっと、命がけでも取ってきた一角の経験と興味が、また、春と一緒に、胸の中に、頭を擡 げだした。水っぽい春の月――風のぬるい春の晩が――妙に彼の血を駆り立てた。 だが、恋はしても、恋には悩まない一角だった。いや、悩んでいる時間すら持たない男だった。押 という......
単語の意味
頭を擡げる(あたまをもたげる)
胸(むね)
頭を擡げる・・・目立ち始める。勢いづく。
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本気で私に愛想をつかしてほしい。会社で会って私が話しかけても無関心な瞳で普通に言葉を返すだけになれば、私はつめたい大理石のうえに寝そべり、石の表面に自分の体温がほんのりと移っていくようにニのことを好きになるかもしれない。
綿矢 りさ / 勝手にふるえてろ amazon
自然に、柳の木が揺れるみたいに大胆に男の人を好きになれるあざみさんがうらやましかった。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
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「胸で好意的に思う」の表現・描写・類語(好きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
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吉本 ばなな / 血と水「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
ひたむきに狂暴な欲念が胸の中でははち切れそうに煮えくり返っていた。
有島武郎 / 或る女
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着なれた着物に手を通したような懐しさ
倉橋 由美子 / 長い夢路「倉橋由美子全作品〈6〉 ヴァージニア・長い夢路 (1976年)」に収録 amazon
多分アンテナの向きがちがうのでしょう。私はその老人の精力をわが身と比べ、あなたは解放された老妻に気持が向いてしまう。
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
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