青く澄み透った空では浮雲が次から次へ美しく燃えていった。《…略…》燃えた雲はまたつぎつぎに死灰になりはじめた。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:98% 作品を確認(青空文庫)
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夕焼けの雲
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前後の文章を含んだ引用
......男の指の先はその空気に触れている。――また彼は水素を充 した石鹸玉が、蒼ざめた人と街とを昇天させながら、その空気のなかへパッと七彩に浮かび上がる瞬間を想像した。 青く澄み透った空では浮雲が次から次へ美しく燃えていった。みたされない堯 の心の燠 にも、やがてその火は燃えうつった。 「こんなに美しいときが、なぜこんなに短いのだろう」 彼はそんなときほどはかない気のするときはなかった。燃えた雲はまたつぎつぎに死灰になりはじめた。彼の足はもう進まなかった。 「あの空を涵 してゆく影は地球のどの辺の影になるかしら。あすこの雲へゆかないかぎり今日ももう日は見られない」 にわかに重い疲れが彼に凭 り......
単語の意味
死灰(しかい)
死灰・・・火の気がなくなった灰。生きている感じのないもの。活気がなくなったもの。
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夕焼けの雲の表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
美しい夕映えだった。バラ色に染まった柔らかい雲が、空一面に広がっている。
三浦綾子 / 続氷点 amazon
濃い朱色の雲が、朱肉を滲ませた綿をキャンバスに叩きつけたような形で散らばっている
吉行 淳之介 / 砂の上の植物群 amazon
落日にいろどられて光を呼吸するように見えた雲も、煙のような白と淡藍 との陰日向を見せて
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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「空・中空」カテゴリからランダム5
長い並木道が、まるで延ばした帯皮のように、何処までも真直ぐに長く続いて、月夜の晩にはキラキラ光る。
林芙美子 / 新版 放浪記
大きい月のまわりに更に大きい暈 がかかって、
宮本百合子 / 伸子
いい月だ。町内の両側に柳が植わって、柳の枝がまるい影を往来の中へ落としている。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
月の光に洗われて、すみれの裸体は古代の陶器のように艶やかだった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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