お雑煮の餅は確かにおいしい。焼いた餅と、熱いツユでゆるんだ餅とではその伸び方が違う。焼いた餅はネチッと伸びるが、煮た餅はユルユルとゆるんで長く垂れて伸びる。長く伸びれば伸びるほど喜ぶ。

うちでは昔から切り餅で、それに菜っ葉をちょぼちょぼ入れるだけ

具も仕立て方も変えて、餅の、具や汁によって異質に変化する味

ごぼうが山ほど入る田舎風の汁に、焼いた餅を入れる東京風の折衷雑煮

やはり雑煮は正月という華やかさと爽やかさの中で食べるべきものである。ゆっくりとくつろぎ、明日の仕事をしなくてもいいという安らぎの中で食べてこそ、味わいも深いというものである。その意味では、雑煮はまさに正月の食べ物で、正月のために日本人が編み出してきた味ともいえる。

しみじみと味わう正統派のおでんもいいが、おすすめは、タレで楽しむおでん。いつものおでんもタレをつけるだけで、違った味わいが楽しめる。

日本料理独特の小ぶりにしゃれた味を吟味したつき出し

私は眼の前の会席膳（かいせきぜん）の食品の鮮やかさに強て念頭を拭（ぬぐ）った。 　季節をさまで先走らない、そして実質的に食べられるものを親切に選んであった。特に女の眼を悦（よろこ）ばせそうな冬菜（ふゆな）は、形のまま青く茹（ゆ）で上げ、小鳥は肉を磨（す）り潰（つぶし）して、枇杷（びわ）の花の形に練り慥えてあった。そして、皿の肴（さかな）には、霰（あられ）の降るときは水面に浮き跳ねて悦ぶという琵琶湖の杜父魚（かくぶつ）を使って空揚げにしてあるなぞは、料理人になかなか油断のならない用意あるがことを懐（おも）わせた。

懐かしく、落ち着く、日本人好みの味わい

有名なおでん屋さんもあるが、コンビニでもおでんが食べられるので、昔と同様に庶民の味、手軽なイメージがある。