金槌を打つ音が、どこからかかすかに聞こえる。 真昼と夕方のはざまの時間、この町は静かすぎて、ずっと遠くの音までが風に乗って耳に届く。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:66% 作品を確認(amazon)
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静けさ・静寂
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......町長が口を開いた。「……いや……お前は、誰だ?」 震えて発せられたその言葉は、風に乗って入ってしまった羽虫のように、いつまでも嫌な感覚とともに耳の中に残った。 金槌を打つ音が、どこからかかすかに聞こえる。 真昼と夕方のはざまの時間、この町は静かすぎて、ずっと遠くの音までが風に乗って耳に届く。カンカン、カンカン。町役場を出、湖を見おろす坂道をとぼとぼと歩きながら、音に合わせて堅い木に突き刺さっていく釘の姿を俺は想像する。暗く狭い木に押し込まれ、やがて......
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
空気の音がジーンと地虫のように聞こえる静寂
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
厚い石塀の連なりは、夕暮れの静けさを一層引き立てている
季良枝 / 由熙 amazon
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暗闇を破くみたいに、鎖が切断される音が大きく響く。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
ねむたくなるような静けさの中で
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
耳の中が隅から隅までどこまで行っても真っ白
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
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