だんだん霜は鋭くなってきた。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
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霜(しも)
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......ごとに隠れていた風景の部分が現われて来た。 もう暁刻の百舌鳥 も来なくなった。そしてある日、屏風 のように立ち並んだ樫 の木へ鉛色の椋鳥 が何百羽と知れず下りた頃から、だんだん霜は鋭くなってきた。 冬になって堯の肺は疼 んだ。落葉が降り留っている井戸端の漆喰 へ、洗面のとき吐く痰 は、黄緑色からにぶい血の色を出すようになり、時にそれは驚くほど鮮かな紅 に冴えた。......
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