貝殻つきが「バカガイ」で、剥くと「アオヤギ」、そのまま干物にすれば「姫貝」で、味の付いた干物は「桜貝」と呼ばれる。その変幻自在な変身ぶりは全く見事なものだけど、なにか親の不始末を子が一生懸命かばっている、いじましい感じさえもする。

青柳の貝柱は小柱といって、てんぷらのネタには欠かせない

どこか優しい苦みがある。肉にも一種のぬめりがあって舌に媚びる。

鮑が貝の王様なら、貝の王妃は赤貝で、青柳はぐんとランクが下がり、商家の下女というところ。値段を見ても、その格差は歴然。

（アワビのステーキ）ビーフ・ステーキもおよばぬ別の味わいがある。アワビのもつエネルギーが、そのまま、食べているわれわれの体内に溶けこんでくるようなやわらかさとボリュームがある。

ホタテは上品でうまみが濃くて感触もいい。貝の中でも極上だ。

うまいシジミとうまい味噌で仕立てた味噌汁は、日本の味の最高傑作の一つである

ホタテの貝柱は様々な調理法で楽しめる。山葵醤油でそのまま賞味するもよし、酢の物、椀ダネ、かき揚げなど、いろいろに工夫を凝らされ応用され、親勝りである。

鮮度抜群のカキは冷凍ものを一切使っていないので、カキ独特のクセが気にならず、磯の香りも清々しい