秋の日は鏡のように濁った池の上に落ちた。

池の水面が錆びた銀色に陰る

微紅（びこう）の夕靄（ゆうもや）は一層水面の面積を広く見せた。

湖水はどこまでつづくのかはては孔雀石（くじゃくいし）の色に何条もの美しい縞（しま）になり

池の水が銀のように空を映して光る

湖の水面はオレンジ色の輝きを点在させながら静かに揺れている

潮風に荒（すさ）びた皮膚が、黒ずんだ皺に塩さながらの粉をふいている

海の上は少し墨汁（ぼくじゅう）を加えた牛乳のようにぼんやり暮れ残って

Ｈ湾は蒼い水たまりのよう

30 分ばかりそこに横になって、少しだけうとうとと眠ったが、そのあいだビーチをおとずれる人間はひとりもいなかった。そのうちにぼくは不思議なくらいしんとした気持ちになってきた。その浜辺はひとりぼっちで訪れるにはあまりにも静かであり、あまりにも美しすぎた。そこにはある種の死に方を想い起こさせるものがあった。