(過保護に育てた野菜)丸かじりする野菜は夏の露地ものでないといけない。 野菜に力がないといけない。 秋冬の、ビニール栽培ものは丸かじりに向かない。 だいたい「露地もの」という表現がすでにしておかしい。 野菜はもともと、すべて露地ものであったはずだ。 野菜というものは、元来、雨に打たれ風に吹かれ、雨ざらし、野ざらしが当たり前なのだ。 雨に打たれてしなり、風に吹かれて揺れながら育つものである。 ビニール栽培の野菜は、風に吹かれて揺れるということが一度もない。ただの一度もない。 生涯、一度も揺れることなく、シンとして動かない。身じろぎもせずに育ち、花をつけ、実を結ぶ植物というものがあるだろうか。何だかこわい気がする。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 ページ位置:44% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......いい。 キュウリは丸かじりするとバリバリと音がして、いかにも嚙みくだいているという快感がある。 嚙みくだいているうちにだんだん勇壮な気分になっていく。 ただし、丸かじりする野菜は夏の露地ものでないといけない。 野菜に力がないといけない。 秋冬の、ビニール栽培ものは丸かじりに向かない。 だいたい「露地もの」という表現がすでにしておかしい。 野菜はもともと、すべて露地ものであったはずだ。 野菜というものは、元来、雨に打たれ風に吹かれ、雨ざらし、野ざらしが当たり前なのだ。 雨に打たれてしなり、風に吹かれて揺れながら育つものである。 ビニール栽培の野菜は、風に吹かれて揺れるということが一度もない。ただの一度もない。 生涯、一度も揺れることなく、シンとして動かない。身じろぎもせずに育ち、花をつけ、実を結ぶ植物というものがあるだろうか。何だかこわい気がする。 丸かじりは野菜に限らない。 まずチクワ。 チクワの丸かじりは痛快である。 なぜかはわからないが痛快な気分になる。チクワを丸ごと金網にのせてさっと焼く。チクワの......
単語の意味
身動ぎ(みじろぎ)
撓る・撓う(しなる・しなう)
身動ぎ・・・体のどこかをなんとなく動かすこと。身うごき。
撓る・撓う・・・1.弾力があるため、折れずに、そり曲がった状態になる。撓む(たわむ)。
2.頼りなさそうにナヨナヨする。自らを支える力もなさそうに弱々しくする。
2.頼りなさそうにナヨナヨする。自らを支える力もなさそうに弱々しくする。
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