葉を落とした雑木林はまるで海底のサンゴのように道の両脇に湿った枝を広げていた。
村上 春樹 / 1973年のピンボール ページ位置:34% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
枝
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......下さいよ、と不機嫌そうに言った。車内の空気はヒーターと煙草でムッとして、カー・ラジオは古い艶歌をがなり立てていた。はね上げ式の方向指示器くらい古くさい歌だった。葉を落とした雑木林はまるで海底のサンゴのように道の両脇に湿った枝を広げていた。「初めて見た時から東京の景色って好きになれなかったわ」「そう?」「土は黒すぎるし、川は汚ないし、山もないし……。あなたは?」「景色なんて気にしたこともなかったな......
単語の意味
雑木(ぞうき)
雑木・・・いろいろな木々。炭や薪にする以外使えない木の総称。
ここに意味を表示
枝の表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ペンで描いたような裸の梢
田村 俊子 / 木乃伊の口紅 amazon
木の枝がひゅうひゅうと悲痛の響きを立てて泣く
長塚 節 / 土 amazon
銀色の雨しぶきの中で、木々の梢が海藻のように揺れ動く
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
(樫の木の)連続した枝は一枚の霞網のように手入れされ
打木村治 / トルストイ・サロン
このカテゴリを全部見る
「植物」カテゴリからランダム5
遠い林の黒ずんだ枯れ枝の交錯が、解読不能の石碑の文字のように白っぽい空に刻みこまれる
日野 啓三 / 抱擁 amazon
とげとげしい櫨 の梢が、眼に痛く空を刺してゐる
芥川龍之介 / 芋粥
木は高い梢にやせた葉を冠のようにつけているばかり
大岡 昇平 / 俘虜記 amazon
同じカテゴリの表現一覧
植物 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ