一つだけ消えない塊がある。これは寂しさだと、俺は知る。その瞬間に俺には分かる。この先の俺に残るのは、この感情だけなのだと。誰かに無理矢理持たされた荷物のように、寂しさだけを俺は抱えるのだと。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 ページ位置:79% 作品を確認(amazon)
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寂しい
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......しく消えていく。なぜ自分が泣いているのかも、俺はもう分からない。砂の城を崩すように、感情がさらさらと消えていく。「誰だ、誰だ、誰だ……」 砂が崩れた後に、しかし一つだけ消えない塊がある。これは寂しさだと、俺は知る。その瞬間に俺には分かる。この先の俺に残るのは、この感情だけなのだと。誰かに無理矢理持たされた荷物のように、寂しさだけを俺は抱えるのだと。 ──いいだろう。ふと俺は、強くつよく思う。世界がこれほどまでに酷い場所ならば、俺はこの寂しさだけを携えて、それでも全身全霊で生き続けてみせる。この感情だけでも......
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遠い旅にでも出たようなさびしい気になって
有島武郎 / 或る女
食い残された食物の器とか、袋なしに転がっている巻煙草とか、トランプとか、碁石とか、それらの散らかっている座敷の様子が、いかにも何か一段落ついたと云う感じを与えた。
志賀直哉「暗夜行路 (講談社文庫)」に収録 amazon
泥沼に浮いた船のように、何と淋しい私達の長屋
林芙美子 / 新版 放浪記
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