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からだじゅうを耳のようにしていた。
有島武郎 / 或る女(前編) ページ位置:77% 作品を確認(青空文庫)
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耳を澄ます・聞き耳を立てる
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......の気配がして、「早月さつきさん」と濁って塩がれた事務長の声がした。葉子は身のすくむような衝動を受けて、思わず立ち上がってたじろぎながら部屋のすみに逃げかくれた。そしてからだじゅうを耳のようにしていた。早月さつきさんお願いだ。ちょっとあけてください」  葉子は手早く小机の上の紙をくずかごになげすてて、ファウンテン・ペンを物陰にほうりこんだ。そしてせかせかとあたりを見回......
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