僕はそのふたつの命題を胸に抱えたまま、時計の長針がゆっくりと文字盤を一周するのを眺めていた。針が一周したあとでも、僕はそのふたつの命題の中心にあるものに辿りつくことはできなかった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:86% 作品を確認(amazon)
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......しかし、彼は僕を拒否してはいない。もし彼が僕をここに置きたくないのなら、彼には僕を閉め出す方法は幾らでもあったはずなのだ。何故なら、この家は彼の家なのだから。 僕はそのふたつの命題を胸に抱えたまま、時計の長針がゆっくりと文字盤を一周するのを眺めていた。針が一周したあとでも、僕はそのふたつの命題の中心にあるものに辿りつくことはできなかった。 羊男は何かを知っている。それは確かだった。僕がここにやってくるのを目ざとくみつけたのと同じ人間が、半年近くもここに住んでいた鼠を知らないわけがないのだ。 考え......
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胸(むね)
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東山は白い靄に包まれて清水の塔が音羽山の中腹に夢のようにぼんやりと浮んで見える。
近松 秋江 / 黒髪 amazon
とにかく視界の中に時計を入れないように、レンズの真ん中を見つめ続ける。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
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